NATO加盟の棚上げ案、ウクライナ与党が声明 地元メディア報道
松尾一郎
ウクライナのゼレンスキー大統領の与党「国民のしもべ」は8日、声明を出し、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を当面棚上げし、ロシアを含む周辺国と新たな安全保障の取り決めを結ぶ構想を明らかにした。地元メディア「ウクライナ・プラウダ」などが報じた。
声明は「(NATOが)ウクライナを最低15年は受け入れる用意がないことは明白だ」と指摘し、NATO加盟までは「ウクライナの安全を完全に保障するしっかりとした取り決め」を、ロシアを含む周辺国や米国、トルコと結ぶ必要があると主張した。
この構想は、こうした取り決めにより、ロシア側にウクライナの存在を法的に認めさせ、ウクライナの国と人々を脅すことを思いとどまらせる効果を期待しているとみられる。
一方、ロシアによるクリミア半島の併合や、東部の親ロシア派武装勢力の支配地域の独立は認めない方針で、ロシア側の示す停戦条件とは隔たりがある。
声明に先立ち、ゼレンスキー氏は米ABCのインタビューで「ずいぶん前にNATOがウクライナを受け入れる用意がないと理解し、この問題に冷静になっていた」と加盟を求めないことを示唆。「(NATOは)ロシアとのもめ事や対立を恐れている」とも述べた。