親の学歴格差、コロナで子へ連鎖する「理不尽」 学校で必要なケアは
新型コロナウイルスの感染が広がり、全国の学校が一斉に休校してから2年が経ちました。その後も続くコロナ禍で長期にわたって制約のある生活を強いられている子どもたちに、何が起きているのでしょうか。休校中の家庭環境と、子どもの学習状況の関係を調べた研究グループの中村高康・東大大学院教授に聞きました。
――文部科学省の委託を受け、一斉休校中の子どもの学習状況を調査されたそうですね
これまで、教育の格差を重要テーマの一つとして取り組んできました。例えば2015年に、社会学者らが国内の20~70代を対象に実施した調査データを分析すると、父親が大学卒業者であればその子も大学に進学し、高校卒業者であれば子どもも高卒となる傾向が浮かび上がりました。大卒の親は比較的教育熱心で、子どもを塾に通わせる経済的余裕があり、結果的に学力が高くなる。美術館なども見て回り、文化的素養も身につく。親の学歴が子どもの学歴に影響する「格差」が生じています。
そこへ現代社会が、経験したことのないコロナという事態に直面し、こうした格差が生まれる構図が顕在化してくるのではないか。拡大する可能性もあるのではないか。そう考えました。
大卒者の子、学習環境が整う
――国委託の調査結果は、どうでしたか
昨年、小学5年・中学2年の計1万8千人と保護者約1万7千人に調査し、学習状況と保護者の学歴、在宅勤務状況などを照らし合わせて集計しました。また、教育委員会の学習指導に地域差が出ていないかを検討するために全都道府県と市区町村の教委に調査を依頼し、9割弱の都道府県と、6割弱の市区町村から回答を得ました。
例えば、シングルマザーで非大卒世帯の子は、勉強を手伝ってもらえなかった割合が高く、両親とも大卒の子は低かった。両親とも大卒で在宅勤務していた層は、非大卒で非在宅の層よりオンラインの学習教材を使えるように手助けしていました。また、大卒者の住む比率が高い市区町村の教委は、オンラインで課題を配信したり、独自の問題集などを作って配布したりする割合が高いといった傾向が表れました。大卒者の多く住む地域では、保護者の注文を受けるなどして教委が環境整備に動いたことがうかがえます。
休校によって、苦しい家庭にしわ寄せがいった。元々あった格差の構造が、コロナによって際だったと言えます。
保護者の学歴によって、子どもの学習環境に生まれる格差がコロナで顕在化した、と中村さんは指摘します。一斉休校から2年を経て、格差はどうなっているのでしょうか。厳しい環境に置かれた子どもたちへのサポートのあり方は。記事後半では、提言に触れます。
――格差が生み出す弊害とは
子どもが生まれる前から決まっているような、親の社会・経済的地位に起因する格差は理不尽でしょう。自分ではどうしようもできないところで出来た格差は抑制しなければならない。分断を生んでお互いが対立すると、社会が不安定化します。不利益を被っていた層がコロナによってさらに重荷を背負ってしまい、分断を深める契機にもなり得るということです。
顕在化した格差、一斉休校経てより鮮明に?
――一斉休校から2年が経ちました。格差は、どうなっているでしょうか
現在、調査対象となった教委…
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