環境と人を壊す黒幕なきシステム 専門家が訴える「軽装備」の農と食

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 私たちの食卓の先に、環境破壊や人権侵害が起きているかもしれない。京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さん(45)は、日本も無関係ではないと警鐘を鳴らす。何をどう変えればいいのだろうか。描く未来の姿を聞いた。(神田明美)

 豪雨や干ばつ、氷河は縮み、海面は上昇する――。悪影響が世界中に及ぶ気候変動。人が化石燃料を使うことなどで排出する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが原因だ。

 ふじはら・たつし 1976年、北海道旭川市生まれ。京都大学人文科学研究所助手、東京大学農学生命科学研究科講師を経て、京都大学人文科学研究所准教授。農業史と環境史が専門で、20世紀の食と農の歴史や思想を研究。新型コロナに関する考察も数多く発表している。著書は、「トラクターの世界史」「給食の歴史」「分解の哲学」「縁食論」など多数。

 「食卓のほとんどの食材が化石燃料に依存しています。また、食用油は、CO2を吸収して貯蔵する熱帯林を大規模に破壊して作られている場合が多い。食料を生産し、運び、消費するという一連の流れ『フードシステム』は、気候変動と密接に結びついています」

 人間活動で出る温室効果ガスの、3分の1は、フードシステムによると推計されている。

 「食と農は、何重にも化石燃…

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