「戦う」から「見せる」城へ 中世から近世へ、姿を変える軍事拠点
編集委員・中村俊介
「戦う城」から「見せる城」へ――。戦乱の世から天下太平の世にうつろうなかで、軍事拠点である城もまた、その姿や性格を大きく変えた。激動の歴史の中心舞台、近畿や東海地方での調査や研究の進捗(しんちょく)は、実戦的な中世山城が巨大で壮麗な近世城郭へと生まれ変わる過程を克明に描き出す。
群雄が割拠した戦国時代。険しい山腹に置かれた山城は万単位に及び、いずれも土を盛って築く飾り気のない要塞(ようさい)だった。ところが織田信長、豊臣秀吉、徳川家康らによる全国統一が進むにつれて城は石垣を張り巡らし、天守を備えて巨大化する。周囲には城下町ができ、城はランドマークとなった。
その到達点ともいえる名古屋城のおひざ元、名古屋市で昨秋開かれた東海学シンポジウムのテーマは「城に学ぶ」。戦うための城がビジュアル重視の構造物へと転換したメカニズムを解き明かす報告が並んだ。
秀吉と織田信雄・家康陣営が…