介護施設の人員配置「3対1」を緩和か 厚労省実証へ

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石川友恵
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 政府は「入居者3人に職員1人」としている介護施設の人員配置の基準を緩和する検討に入った。2022年度に介護ロボットなどを活用した実証事業に取り組み、生産性の向上と人手に関わるデータを集める方針だ。介護事業者から「4人に1人」とする案も提示されるなか、業界には介護の質の低下や職員の負担増への懸念が広がっている。(石川友恵)

 人員配置に関しては、政府の規制改革推進会議の作業部会で議論されてきた。実証事業は厚生労働省が進める予定。3月中に事業者を選び、4月スタートを見込む。

 ベッドから車いすに移るのを助ける介護ロボットや、洗濯や配膳といった補助的な仕事を担う介護助手を活用する。業務の生産性、ケアの質の確保、職員の働き方などへの影響を調べる考えだ。すでに21年度から実証中のセンサーを使った夜間の見守りも対象施設を広げる。

 24年度には3年に1度の介護報酬(政府が決める介護サービスの価格)の改定が控える。これに向けて来年3月ごろまでにデータをまとめ、報酬や人員配置の方向性を検討していく。

「4対1」の人員配置を提案 SOMPOケア

 今回の実証で政府が参考としているのが、全国で有料老人ホームなどを展開する介護事業大手「SOMPOケア」(東京都品川区)の取り組みだ。心拍や呼吸数などが測れるセンサーを使って夜間の見守りをしたり、日々の食事や脈拍など体の状態を記録したデータをもとにケア内容を考えたり、介護にかかった時間を分析しながら自立支援につなげたりしている。

介護施設4対1の配置、どうやって可能に?SOMPOケア役員に聞く

SOMPOケアが規制改革推進会議で提案した「4対1」の配置。一方で介護の質の低下など懸念の声もあがります。本当に可能なのかSOMPOケアの担当役員に聞きました

 同社は昨年末の規制改革推進会議の部会で、こうした技術などを生かせば、介護付き有料老人ホームの場合、職員1人で利用者4人に対応できると説明した。

 ロボットや介護助手などを活…

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