日南大島周辺に新種サンゴ 宮大院生ら発見

大畠正吾
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 宮崎県日南市沖に浮かぶ大島(通称・日南大島)の周辺海域でサンゴの新種が見つかった。白や薄い青の体色が美しく、発見した宮崎大学などの研究グループは、宮崎ゆかりの女神コノハナサクヤヒメにあやかって「コノハナウミアザミ」と命名した。この海域は固有種の宝庫とされ、環境保全のうえでも重要な発見だという。

 新種が見つかったのは「ソフトコーラル」と呼ばれる軟体サンゴのウミアザミの仲間。研究グループは公益財団法人黒潮生物研究所の古井戸(こいど)樹(たつき)さん(36)、宮大農学部海洋生物環境学科教授の深見裕伸さん(49)、国立産業技術総合研究所の今原幸光さんら。論文が今月3日、国際学術雑誌「Zookeys(ズーキーズ)」のオンライン版で公開された。

 宮大大学院博士課程で学ぶ古井戸さんは2012年から、日南大島周辺のサンゴを研究。ウミアザミ類の中に今まで確認されていない種類がいるのに気づき、電子顕微鏡で体内を観察した。1ミリ以下の骨片を調べたところ、ふつうなら平らな楕円(だえん)形をしているはずの骨が、細長い棒状になっているのを見つけた。棒状の骨片を持つウミアザミ類は海外でも未発見で、新種と判明したという。

 研究グループによると、日本には多様なウミアザミ類が生息している。中でも日南大島周辺は国内有数の生息地で、大群落がある。ほかにも新種の可能性があるウミアザミ類が数種類見つかっていて、分析作業が進んでいるという。

 サンゴ生物学が専門の深見さんは「新種のウミアザミは今のところ日南大島周辺だけの固有種で、ここが種の多様性の高い貴重な海域であることを表している」と説明する。

 ソフトコーラルはダイビングなどの観光資源でもあり、古井戸さんは「新種のサンゴは宮崎の美しい自然の中から見つかった。この海をきれいに使い、守っていってほしい」と呼びかけている。(大畠正吾)

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