岡口基一判事の弾劾裁判、3月2日に初公判 SNSで遺族中傷

阿部峻介
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 SNSで殺人事件の遺族を傷つける投稿をしたなどとして訴追された岡口基一・仙台高裁判事(55)=職務停止中=について、裁判官弾劾(だんがい)裁判所(裁判長・船田元(はじめ)衆院議員)は9日、3月2日に初公判を開くと決めた。2回目以降の期日は未定。

 弾劾裁判は「裁判官としての威信を著しく失わせる非行」があった時などに罷免(ひめん)する手続きで、公開で行われる。衆参両院の国会議員14人が裁判員を務め、「罷免相当」となれば法曹資格そのものを失う。不服申し立てはできず、退職金は出ない。過去9件(8人)の弾劾裁判があり、収賄や児童買春などの刑事事件やそれに近い行為をした7人が罷免されている。

 岡口氏は東京高裁がウェブサイトに誤って載せた殺人事件の判決文を引用し、ツイッターに「首を絞められて苦しむ女性に性的興奮を覚える性癖を持った男」「そんな男に、無残にも殺されてしまった17歳の女性」などと投稿。抗議した遺族について2019年11月、フェイスブックで高裁に「洗脳」されて自分を批判しているとも書いた。

 国会議員でつくる裁判官訴追委員会が遺族らの請求を受けて昨年6月、罷免を求めて訴追した。

 裁判の独立や公正を守るため裁判官の身分保障は手厚く、内部の処分は戒告か1万円以下の過料しかない。最高裁は岡口判事について2度にわたって戒告の懲戒処分にしている。(阿部峻介)

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