湯田温泉に「美肌効果」、乾燥肌のカピバラで実証 科学誌に掲載

武井宏之
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 山口市の湯田温泉の湯に「美肌効果」があることを、山口大学の研究者が動物実験で実証し、論文をまとめた。力を借りたのは、冬の入浴イベントがニュースで取り上げられるカピバラたち。温泉がもたらす効果を科学的に裏付ける動物実験は珍しいという。

 山口大学大学院共同獣医学研究科3年の井中賢吾さん(29)と指導教員の木村透教授(63)が論文をまとめ、昨年12月に科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

 元々、高温多湿な南米アマゾン川流域の水辺に生息するカピバラは、日本の冬には乾燥して肌荒れを起こしてしまう。動物の皮膚を研究してきた木村教授は「温泉に入れるとどうなるのか」。湯田温泉の関係者から協力を得られ、2016年冬から実験を始めた。

ガサガサだった肌の水分量が3倍に

 カピバラの入浴イベントをしている秋吉台サファリランド山口県美祢市)に湯田温泉の湯を運び、9匹のカピバラを21日間、1日15分入浴させた。

 その結果、ガサガサだった肌の水分量が約3倍に増え、色素沈着を示すメラニン値は1割弱減るなど、荒れた肌の改善が見られた。入浴前後の目や耳の様子を観察して得点化し、リラックス効果があることも確認した。

 湯田温泉はアルカリ性の単純泉。白キツネが傷を癒やすために足をつけていた池にわき出ていたという言い伝えがあり、別名「美肌の湯」とも呼ばれる。

 2人は、別の実験動物を使い、温泉と水道水の湯の入浴効果を比較した研究をしており、近く発表する予定。「研究が結果的に地域の観光振興や健康増進につながればいい」と期待している。武井宏之

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