保育園の散歩で行った公園で、子どもが置き去りにされた――。聞いただけでぞっとする事案が、実際の保育の現場で起きている。朝日新聞の取材によると、東京都に報告されただけで、置き去り(迷子などを含む)は2017~20年度の4年間に94件起きていたことがわかった。
中には、保護されるまで1時間半もかかり、保育園側が全く気づいていなかったケースもある。
なぜ、こんなことが起きるのか。
2歳男児、移動中にはぐれ
「息子さんを公園に残したまま、先に保育園に帰ってしまった。お迎えの時に説明させてください」
東京都に住む30代女性は昨年、仕事帰りに当時2歳の長男が通う私立の認可保育園から電話でこう告げられた。
長男は保育園の散歩で行った公園に置き去りにされ、同じ公園にいた別の園の保育士に保護されたという。「無事」と聞いて涙がこぼれた。
園側の説明では、当日は保育士ら4人が2~5歳児22人を連れて公園に出かけた。遊び終えた園児らを整列させ、園児がかぶる帽子を見て人数を確認。その後、全員がそろっていると判断し、公園を出発した。
ところが、その後――。
この2歳児のほかにも置き去りにされる事例は各地で起きています。ある母親は「交通事故に遭わなかったのは奇跡。背筋が凍った」と振り返ります。どんな事例があるのか。置き去りが起きる背景は何か。保育士の声も交えながら掘り下げます。
約20分かけて園に到着後…
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- 【視点】
散歩中も、遊び中も、食事中も、睡眠中も、1人で1歳児6人、あるいは3歳児20人、あるいは4歳児30人を同時にみるーー。前日から緻密に保育の計画を練っているプロでも、本当に大変なことです。 しかしこれが、日本で定められている保育園の先生の数
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