若年層の心の不調深刻 コロナ緊急事態宣言下の自粛生活 徳島大調査

オミクロン株

斉藤智子
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 新型コロナウイルスの感染拡大による自粛生活について、緊急事態宣言が回を重ねるにつれて心理的ストレスの改善傾向が認められた一方、社会的な孤立が深まったという調査結果を徳島大の研究グループが発表した。また、若年層の4人に1人がコロナ禍で「死にたい」と思ったことがあり、他の年齢層に比べて精神面の不調が際立つ結果も明らかになった。

 徳島大大学院社会産業理工学研究部の山本哲也准教授らは、2020年4月~21年9月に計4回出された緊急事態宣言の期間中、自粛生活の影響についてオンラインで調査を実施。東京や大阪、兵庫など宣言の対象区域となった都府県に住む10代~90代の延べ4万9476人から回答を得た。

 その結果、「ストレス状態」「治療を要するうつ状態」と推定された人の割合は、1回目の宣言時の「48・1%」と「17・9%」に対し、4回目は「35・4%」と「13・3%」で全体的に改善傾向が認められたという。一方、社会的孤立状態と推定された人の割合は1回目の44・1%に対し、2回目以降は約60%に上昇し、4回目は63・3%だった。

 18~29歳の若年層で「ストレス状態」「治療を要するうつ状態」と推定された人の割合は、4回目の宣言時に「54・4%」「22・7%」。4回の宣言全てで他の年齢層を上回っていた。

 若年層で特に目立ったのは「死にたいと思ったことがある」人の割合で、1回目24・9%、4回目26・9%。他の年齢層では1回目に比べて、4回目には減る傾向があったが、若年層では増えたことについて、山本准教授は「将来に見通しが持てなくなったことが考えられる」と話した。

 また、アルコール依存症の疑いがある人の増大傾向も見られた。3回目の宣言期間中に6都府県で行った1万人規模の調査で、初めての宣言があった約1年前からの飲酒習慣を分析したところ、アルコール依存症の疑いがある人の割合は男性10・3%、女性4・0%。コロナ禍前の18年の全国的な疫学調査の男性5・2%、女性0・7%を上回っていたという。(斉藤智子)

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