消防署でクラスター、路線バスの全面運休も… 社会のインフラに危機

有料記事オミクロン株

新谷千布美 浅沼愛 石川友恵
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 新型コロナウイルスオミクロン株の感染急拡大は、消防や交通、医療や介護といった現場を支える「エッセンシャルワーカー」にも深刻な影響を及ぼしている。相次ぐ感染者で社会機能の維持が危機的になっているところもある。一方、国の対応は追いついていない。

 兵庫県姫路市の姫路西消防署では今月に入り、署員75人(出張所2カ所を除く)のうち42人が感染するクラスター(感染者集団)が発生した。消防隊や救急隊の2交代勤務が危機的状況に陥った。

 隊員の最初の感染判明は14日で、その後、同じ班の隊員が発熱やのどの痛みを訴えた。16日~17日に同じ班の隊員ら約30人を自宅待機とし、検査を進めた。二つの班のうち一つの機能が停止寸前となった。

 清元秀泰市長は16日の臨時記者会見でクラスター発生を発表し、「市民生活に支障が出ないように全力で対応する」と強調した。

 市消防局は、西消防署の出張所や他の消防署などによる応援態勢を決定。感染防止のため、他の消防署の消防車で西消防署の前に駆け付け、交代で待機してもらう形をとった。応援職員がカバーしたのは、火災現場で統括にあたる指揮隊、逃げ遅れた人を助ける救助隊、市民と接する窓口業務に及んだ。

 もう一つの班でも感染者が確認されたが、26日には通常の体制に戻った。市消防局の幹部は「西消防署の閉鎖も頭をよぎったが、何とか乗り切れた」と話す。

 住民の「足」の公共交通機関にも影響が出ている。

 熊本市の「熊本都市バス」では、24日までに運転士ら3人が感染したほか、1人が濃厚接触者と判定されて自宅待機となった。同社は事業継続計画に基づき、24日から全26路線のうち2路線で減便を始め、当面継続するという。

 このうち小峯京塚線は利用者数と便数が最も多いが、平日は218便から186便に減らしている。担当者は「地域の足を担っている。何とか頑張るのが我々の使命だ」と語る。

 広島県廿日市市が運行する「おおのハートバス」は、地域の高齢者や小学生らが通院・通学時などに利用する。市によると、4路線あり、1日の乗客数は平均約400人。委託先の内勤職員2人が感染し、運転手ら9人もPCR検査を受けるため、16、17日の2日間は全面運休となった。(新谷千布美、浅沼愛)

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