第6波、「後手」批判恐れた政権 コロナ対応は「世論対策でもある」

有料記事オミクロン株

森岡航平 笹山大志 西村圭史 石塚広志 下司佳代子
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 新型コロナの感染拡大が新たな局面を迎えている。昨夏の「第5波」が終息してから約3カ月。変異株「オミクロン株」の台頭で「第6波」が現実的となり、政府や自治体による対策強化の動きが急になってきた。一方、現状の指標が「感染拡大のスピードに対応できていない」との指摘も出ている。

 6日夜の首相官邸。岸田文雄首相は、沖縄など3県への重点措置の適用方針を決め、記者団を前にこう述べた。「オミクロン株については、まだ十分に実態が把握されていない。慎重の上にも慎重を期す。最悪の事態を想定することが基本的な考え方だ」

 今回の適用をめぐり、岸田政権は後手に回らないよう腐心を重ねた。

 沖縄県の新規感染者が200人を超えた4日午後。松野博一官房長官玉城デニー知事に直接電話をかけ、「適用要請が出された場合は速やかに検討する」と伝えた。政府内ではすでに適用に向けた準備を進め、7日に正式決定する日程も調整。担当者の一人は「『後手』に感じられないように、一気に網をかけることもありえる」とし、他地域への適用も想定していた。

 政府が昨年11月に決定した緊急事態宣言や重点措置を出す目安となる新指標では、新規感染者数よりも医療提供体制にかかる負荷を重視。医療逼迫(ひっぱく)の状況などに応じて0~4の5段階の「レベル」に分け、宣言はレベル3、重点措置はレベル3か2相当で検討することにした。

 今回適用される3県は、6日時点でいずれもレベル2だが、広島と山口は前日までレベル1。それでも政府は、適用を前提として調整を進めた。官邸関係者は「新指標はデルタ株が前提だった」とし、オミクロン株の感染力の強さを考慮したと説明する。

 ただ、夏の参院選での勝利を政権安定の足がかりとしたい首相には、政治的な思惑もあった。

 政府関係者によると、首相は…

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