デズモンド・ツツ元大主教が死去 アパルトヘイト撤廃へ非暴力の運動

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ヨハネスブルク=遠藤雄司

 南アフリカアパルトヘイト(人種隔離)政策に反対し、非暴力の撤廃運動を続けたノーベル平和賞受賞者のデズモンド・ツツ元大主教が26日、南ア西部ケープタウンで死去した。90歳だった。南ア大統領府が同日発表した。ツツ氏は1997年に前立腺がんと診断され、入退院を繰り返していた。

 31年、南ア北部トランスバール地方のクラークスドルプの黒人居住区に生まれた。果物売りやゴルフ場のキャディーをしながら苦学して教師になり、57年の黒人差別教育立法に反対して聖職に転じた。79年からは南ア・キリスト教協議会の事務局長を務め、現地報道によると、86年には南アの英国国教会の最高位であるケープタウン大主教に黒人として初めて就任した。

 反アパルトヘイト運動の先頭に立ったが、武装闘争を進めた「アフリカ民族会議(ANC)」とは一線を画し、ハンガーストライキなど非暴力の運動を展開。84年にノーベル平和賞を受賞した。「白人がすべて角のはえた悪魔ではない」が持論で、白人知識層にも大きな影響力を持った。86年には当時のボタ大統領と非公開で会談するなど政府側との交渉にもかかわり、94年の民主化に貢献した。

 この年、ANCを率いていたネルソン・マンデラ氏が選挙によって大統領に就任した後、アパルトヘイト下での犯罪や人権侵害を調べる政府の公聴会「真実和解委員会」の委員長に任命された。最終報告書を提出した際には「この報告書は過去の傷を癒やすのには欠かせないものだ」と訴え、国民に改めて過去の清算と和解を求めた。

 一方、ツツ氏は、大統領にな…

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