「流氷津波」で被害増大 5メートルの津波でも被害出る可能性
千島海溝と日本海溝沿いの巨大地震が冬場に起きると、北海道内の太平洋や根室海峡の沿岸地域が受ける被害は増大するとみられている。21日に国が公表した被害想定は「流氷津波」にも着目している。過去には流氷が押し寄せて大きな被害が出た地震も起きている。
今回の国の想定では積雪寒冷地の特徴的な被害として、流氷の漂着を考慮した場合の津波による全壊棟数を推定している。流氷が到達する北海道東部が大きな被害を受ける千島海溝地震では、流氷を伴わない場合、道内の全壊棟数は最大5万7千棟だが、流氷を考慮すると最大5千棟増える可能性も示された。
道内で真冬の12月~2月にこれまで起きた津波を伴う地震は多くない。ただ、1952(昭和27)年3月4日発生の「十勝沖地震」では、道東の浜中町を津波が流氷や漁船などを伴って襲い、大きな被害が出た。
「浜中町史」によると、この時の住宅の被害戸数は306棟。琵琶瀬湾と北側の浜中湾に囲まれた霧多布地区の市街地は流氷が直撃し、流出・全壊した建物は全戸数の11%に及んだ。
一方、霧多布地区も含めた町内の死者は3人にとどまった。道がまとめた「北海道十勝沖震災誌」によると、発生が午前10時20分過ぎと日中だったうえ、沖合から迫る津波が陸地から見え、消防団の半鐘などで住民が早めに避難できたことで、人的な被害はこの規模で済んだという。
当時は、現在より寒さが厳し…
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