腕利き板金工だった放火事件の容疑者 離婚後に「ひとりきりの悩み」

有料記事大阪・北新地のビル火災

松浦祥子 甲斐江里子
【動画】ビル火災発生の約30分前、現場から1キロあまり離れた場所を自転車で走る容疑者とみられる男=大阪市福島区内の店舗提供
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 大阪市北区の雑居ビルで起きた放火殺人事件に関わった疑いがあるとして、大阪府警が19日に氏名を公表した住所・職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)。職や住まいを転々としていたとみられるが、腕利きの板金工として仕事に打ち込んでいた時期もあったといい、知人らは「信じられない。胸が痛い」と語った。

 谷本容疑者は2010年秋ごろまで、大阪市内の板金工場で、断続的に7、8年間働いていた。

 社長の妻(76)によると、もともと谷本容疑者の父親が営む板金工場で修業していたが、大きなけがや家庭の事情などが重なり、家業は継がなかった、と話していたという。

 1級建築板金技能士の国家資格を持ち、職人としての腕は確かだった。「すぐどんな腕かわかりますもん。日当はどんどん上げていった」。最初は8千円。数カ月でアルバイトから正社員になり、1万2千円の日当を月払いするようになった。社長(78)は「彼の仕事は見ただけで、彼がやったと分かるくらい群を抜いていた」と振り返る。

 作業で指摘をすると「なんでや」とカッとなることはあった。ただ、ちゃんと話せばすぐに落ち着いて後に引きずらなかった。社長の妻も「自分にも厳しいし、後から入ってきた人にもびしっと厳しく教える。若い子への面倒見もよかった」と話す。

 谷本容疑者には妻と2人の息子がいたが、08年に離婚した。離婚の話が出たころから急に休むことが増えたという。社長の妻は「ひとりぼっちになって悩みもあったようだ。はき出すところがなかったのか出勤したとき、夫(社長)に聞いてもらう感じだった」と言う。最後にいなくなった時は事前の連絡もなく、社長からの電話にも出なかった。

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