(魂の中小企業)人力車の男、「レッツ・エンジョイ・サイクリング」

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 みなさんは自転車に乗っていますか? サイクリングを楽しんでいますか?

 サイクリングが大好きな方にとって、自転車通勤など朝飯前。百数十キロも自転車をこいでケロッとしているのが当然だ、ともうかがいました。

 全国各地に、サイクリングコースが整備されている所があります。自治体などが地域おこしのためにつくったものです。

 けれど、だれも利用せず「休眠」しているコースがいくつもあります。そこに、新型コロナが加わって観光できなくなってしまいました。

 コロナの行方は要警戒ですが、観光できるようになってきました。秋は過ぎてしまいました。雪国ではそれどころではないでしょうが、冬晴れの下でサイクリング、も乙なものかもしれません。

 神戸に「DIIIG」という会社があります。読み方はディグ。地域や人を深掘りして地域を活性化させようという会社です。

 ここが目指していることは、これです。

 「外出を最高のエンタメに」

 外にでて笑顔になりましょうと、スマホのアプリで呼びかけ、各地でサイクリングイベントをしています。

 イベントには数百円の参加費が必要です。そして、参加費の一部が、自治体へ。そのお金でコースの道路を修理、維持します。

 つまり、走れば走るほど愛するコースを守れる、のです。

 そんな事業をはじめた社長、秋国寛さん、42歳。晴れた日にオフィスワークなんてガマンできない。そういう人物の半生です。

    ◇

 神戸に生まれた。消防士だった父は、泊まり勤務が明けて帰ってくると、釣りや山登りに連れて行ってくれた。消防士は、とにかくタフである。

 家の中にいると、体がムズムズしてくる。 とにかく外に出たい!

 だから剣道、少林寺拳法、テニス……。体を動かしまくっていた。

 京都にある私立大学、その経済学部で学びつつ、誰にも負けない体力をつけるためボクシング部に入る。

 バイトは、まずパチンコ屋。そこのオーナーにかわいがられ、オーナーが経営していたショットバーの店長になる。金髪の19歳店長は、お客さんにかわいがられた。

 楽しかった。けれど、秋国は思いはじめた。

 〈夜の時間が無為に消えている。このままでいいのか?〉

 20歳を前に店長をやめた…

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