井上尚弥世界戦、リング外の戦い PPV成功のため必要な3要素とは

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聞き手・野村周平 塩谷耕吾
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 “モンスター”の異名を持つボクサー、世界バンタム級2団体統一王者・井上尚弥(28)=大橋=の防衛戦(12月14日、東京・国技館)は、これまで恒例だった地上波の生中継がない。

 インターネット配信サービス「ひかりTV」と、インターネットテレビ「ABEMA」が、ペイ・パー・ビュー(PPV)と呼ばれる課金放送方式で、この国際ボクシング連盟(IBF)6位アラン・ディパエン(タイ)との一戦を売り出している。

 日本のスポーツ界ではあまり成功例がない新たな取り組みについて、ひかりTVを運営するNTTぷららの永田勝美社長に聞いた。

 ――PPV放送を決めた経緯は。

 3年前から、井上選手のスポンサーをしている。ジムの大橋秀行会長と話す中で、ボクシング業界はジム経営を見ても、選手個々にとっても、ビジネスとして厳しいと聞いてきた。ボクサーは選手寿命が短いし、いくら強くても十分には稼げない、負のスパイラルがあるのだと。その構造を何とかしたい、という会長の切実な思いが伝わってきた。

 一方、米国を見れば、ボクシングや格闘技のPPVや配信ビジネスがうまく回っている。(2015年の)メイウェザーとパッキャオの試合はPPVでとんでもない売り上げを記録した(4億ドル=約480億円)。日本でもそういう形に近づけていけないか、というのがきっかけ。この春から会長と話し合いを続けてきた。

 ――地上波中継というこれまでのビジネスモデルを変えるのは困難だったのでは。

 一番の肝は井上選手という存在であり、大橋会長の思い。コンテンツでいえば、IP(知的財産)を持っている方がチャレンジをしたい、と。これまでの方法でも一定の収入を得られるのに「変えなければいけない」という思いが強かった。我々もその一助になれれば、と。

 我々の責任は重い。もし以前より(収益などが)下回れば、新しいやり方に近づいたはずが、逆に遠ざかってしまうので。

 ――日本にPPVの文化が根付いていない中、成功のために必要な要素は。

 マーケットをつくるために大事なことは、まず分かりやすいスーパーヒーローがいることです。そうでないと、ユーザーを新たな観戦形態に引き寄せられない。

 もう一つは試合の特性。例え…

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