廃炉の課題解決へロボコンに挑戦 王者・小山高専が5年連続出場

津布楽洋一
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 【栃木】福島第一原発廃炉の課題解決をめざし、全国の高等専門学校生がロボット技術を競う「廃炉創造ロボコン」に、小山高専チームが5年連続で出場する。11月に「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」(高専ロボコン)を2連覇した同校が、今度は過酷な廃炉現場を想定したロボットとともに入賞をねらう。

 廃炉ロボコンは、日本原子力研究開発機構などの主催で2016年から始まった。長期にわたる廃炉作業を担う人材の育成や、課題を解決する力を身につけてもらうのが目的だ。優れたアイデアや技術は、実際の廃炉作業に適用可能かどうかを検討する。

 6回目を迎えた今年は、11日に福島県楢葉町で高専12校13チームが参加して開かれる。小山高専からは電気電子創造工学科の中山藍維さん(5年)をリーダーとする3人のチームが出場する。

 競技課題は、ロボットが建屋内の狭い通路を走り抜け、高い位置にある壁面の除染作業をするというもの。放射線量が高く人が立ち入れない想定で、ロボットも競技場も見えない位置からリモートで操作する。

 小山高専が製作したロボットは「ウォール・シェイバー・セブン」と名付けた。ひげそりのようなアームを伸ばして高い壁面で作業ができる。4月から設計を始め、ソフトウェアの開発やアルミ材の加工などにも取り組んだ。コロナ禍で在校時間が限られるなど困難もあったが、なんとか完成にこぎつけた。

 操作はロボットに取り付けた4台のカメラからの映像が頼りだ。右左折を繰り返すクランクや、がれきに見立てたスロープがあるコースを走行し、到着した壁面では高さ2・7メートルに設置された模造紙をペンで塗りつぶす。これらの作業の精度と効率が評価のポイントとなる。

 NHKが放映する高専ロボコンに比べると一般の注目度は高くないが、チームを指導する田中昭雄教授は「高専ロボコンは独創性やエンターテインメント性が問われ、廃炉ロボコンは実用性が問われる」とそれぞれの目的を説明する。

 メンバーは10月、福島第一原発の廃炉作業を見学し、大会への思いを強くした。中山さんは「現実にある課題に取り組むのが廃炉ロボコンのテーマだと思う」と話す。大会直前までロボットの改良を続けるつもりだ。(津布楽洋一)

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