自立・積極性・恐れない心…大人が黙る大会で、中学生が気づいたこと
部活文化を問う
傍らで聞いていて、いいミーティングしているなあ、と感じる情景だった。
新しい部活動の在り方にもつながるかもしれないなあと。
とあるサッカーの試合のハーフタイム。何人かが矢継ぎ早に言い合っている。ベンチ周辺には取材者の私以外、中学生しかいない。
「あれ、どうしたらよかったの?」
「引いて(相手にパスを)回させてから寄せる」
「後ろが『行くな』と声をかけないと。戻ってきたら、『右、(パスコースを)切れ』とか、『左、切れ』と」
「練習試合なんだから、間違ってもいいから(後ろが声をかけよう)」
どうやら、守備時に前線の選手が不用意にプレスをかけにいき、後方の選手もコーチングできず、意思疎通と連係を欠いたシーンがあったようだ。
「サイレントリーグ」という大会だ。参加したのは、岡崎市内の12の公立中サッカー部。順位をつけない形で各校が2試合ずつを行った。
特別ルールが三つある。
①指導者は生徒たちに指示を出さない
②準備、ウォーミングアップ、メンバー選定、ミーティング、交代は生徒が行う
③各校は、部員全員が納得できる出場時間や役割を考える
大人は黙ろう。それによって子どもの主体性を引き出し、自立心の成長につなげよう。だから、サイレントリーグだ。
とかく大人が言い過ぎ、子どもを指示に従う行動に縛ってしまいがちな日本のスポーツ指導への、アンチテーゼもこもっている。
今年1月、同様の大会が小学4年生のクラブチームを対象に岡崎市で開かれた。主催するスポーツマネジメントグループ「アジアンラボ」(今久保隆博代表)が「小学生と同様、中学生も指導者から言われることをすればいいという状況に慣れているのでは」と、岡崎市の中学校体育連盟サッカー専門部の先生たちに、今回の大会開催を打診し、実現した。
今回のサイレントリーグを見ていると、最終ラインの上げ下げの声かけなど、中学生になれば、さすがに多くのことは自分たちでできる。
試合前のメンバー決めも、「○○が出て、代わって△△が出て……」とシミュレーションし、主将が交代の予定をまとめて言った後に、「呼ばれていない人!」と確認し、手が挙がるなど、活気があった。
選手たちに感想を聞いてみた。
「今日体験した『自立』が…
- 【視点】
小学生を対象としたバスケットボール、通称ミニバスでは、「第3クォーターまでに全てのプレーヤーが少なくとも1クォーターはゲームに出場しなければならない」といった特別ルールが設けられ、全国大会も優勝を1チームに限ることをしません。 いずれ
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