絶滅の山に1羽のメスが舞い降りた 中央アルプスで「神の鳥」復活へ
近藤幸夫
現場へ! 神の鳥ライチョウ①
2018年7月21日、環境省信越自然環境事務所(長野市)の福田真(39)は、地元の信濃毎日新聞の記者から確認を求められた写真の鳥に釘付けになった。「メスのライチョウに間違いない」。問題は撮影場所だ。半世紀前に絶滅したとされる中央アルプスの木曽駒ケ岳(2956メートル)だった。翌日の朝刊1面。「ライチョウ確認」のスクープが紙面を飾った。
中央アルプスでは1969年の目撃例を最後にライチョウが確認されていない。67年に木曽駒ケ岳へのロープウェーが完成し、登山者や観光客が押し寄せるなど自然環境が大きく変わったのが、絶滅の要因の一つと考えられている。
「ライチョウはどこから来たのか」。福田にある仮説が浮かんだ。
2009年、絶滅地域の白山…