ヤングケアラー支援条例案を検討 茨城県議会が大学生に意見聴く
茨城県議会が、家族の介護やきょうだいの世話をする「ヤングケアラー」を支援する条例の制定をめざしている。ヤングケアラーだけでなく、大人も含めたケアラーを社会全体で支えるため、県の役割を明確化するねらいがある。9日には最大会派のいばらき自民党が、県内の大学生を県議会に招いて意見を聴いた。
今年4月、厚生労働省による初の全国調査で、ヤングケアラーが中学・高校生でおよそ20人に1人いることがわかった。「宿題や勉強の時間が取れない」との回答も多く、政府は5月、SNSを使った相談の拡充や、子どもの負担軽減に配慮した福祉サービスの提供などを盛り込んだ支援策をまとめた。
条例案では、病気や障害がある家族や身近な人に無償で介護や看護をしている人をケアラー、そのうち18歳未満の人をヤングケアラーと定義する。「社会問題として認識し、ケアラーを社会全体で支えていく必要がある」と記した。
県に対しては、具体的な支援策を盛り込んだ「推進計画」を策定することや実態調査の実施、ヤングケアラーを早期に発見し、修学や就業の支援のために、市町村や学校との連携を強化することを求めている。
条例案は自民党県連のホームページで見ることができ、同会派は18日までパブリックコメントをFAX(029・240・4416)などで募集している。
条例案は修正の上、24日に開会する県議会定例会に提案する予定。県議会事務局によると、成立すれば、昨年3月の埼玉県議会に次いで都道府県議会では2例目となるという。
大学生と意見交換会
意見交換会には、県議会と包括協定を結んでいる茨城大と常磐大の学生計6人が参加した。
茨城大の学生は、学生を対象にしたウェブアンケートの結果をもとに政策提言をした。
アンケートに回答した252人のうち10人にケアラーの経験があった。「相談できる人が周りにいない」「悩みを打ち明けることに抵抗がある」「進学・就職先が実家から通える範囲に限定され、したいことが自由にできない」といった声が寄せられたという。
行政には、ケアラー同士が交流できる場づくりや、偏見を取り除く広報活動、外部にケアを頼れるサービスの拡充や支援手続きの簡素化などを求めた。
常磐大の学生からは「ケアの責任は家族なのかそうでないのかを条例に明記すべきでは」「教育機関にも、ヤングケアラーの早期発見・対応の努力義務を課してもいいのでは」などの意見が出た。
勉強会の座長を務める鈴木将県議は「意義のある会議になった。みなさんの声を生かし、ケアについて県民が理解を深め、考え直す機会となるような条例にできれば」と話した。