加賀まりこ、「最後の恋」と自閉症の息子が教えてくれたこと

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聞き手・山内深紗子
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 かつて小悪魔、いまは穏やかな純情ババァ――。俳優の加賀まりこさん(77)は、自身の変化をこんな風に感じています。きっかけは、還暦を迎える頃に家族になった自閉症の息子を育てるパートナーの存在。12日に公開され、54年ぶりに主演する映画「梅切らぬバカ」でも自閉症の息子を育てる母の役を演じました。最後の恋と還暦を過ぎて知った安らぎ、役にこめた思いなどについて聞きました。

良い顔になっていた彼

 私には自閉症の40代の息子がいます。愛をこめて息子を「若(わか)」と呼んでいます。

 50代は更年期がひどくて最悪のトンネルでした。そんな時に、今のパートナーが舞台を見に来てくれて、久しぶりに再会。彼は、とても良い顔になっていた。

 「どうしたの?」って聞いたら、自閉症の息子を育てていて、離婚も経験したと。良い顔は、つらい思いもして、たくさん学んだ結果だったのよね。私は彼に「息子さんに感謝ね」って言って、交際を申し込みました。

 パートナーは多忙な仕事の合間に、親の死後も安心して託せる「若」のためのグループホームを探し、実母のケアもしていた。待ち続けること5年。やっと私は彼からOKを頂き、事実婚で家族になりました。 

花より男子」の母役は嫌いだった

 コロナ禍の昨夏、監督から自閉症の「ちゅうさん」を育てる高齢の母親役のオファーがありました。まず台本が良かった。若い無名の監督がとても地味な作品を撮り、文化庁がお金を出す面白さ。加えて、外見などいかにも「加賀まりこ」ではない要素をきちんと見て依頼してくれたので、心が動いたのよね。

 「若」の存在は監督もスタッフも知りませんでした。

 ある日、パートナーが一緒に…

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