温室効果ガス、削減目標達成しても2.7度上昇 国連「対策加速を」

ワシントン=合田禄
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 今月末に国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が始まるのを前に、国連環境計画(UNEP)は26日、各国が定めた温室効果ガスの削減目標を達成しても、今世紀末には産業革命前から気温が2・7度上がるとする報告書を公表した。気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えるとする温暖化対策の国際ルール「パリ協定」の目標に届かない見通しで、対策を加速させる必要があるとしている。

 日本は今年4月、温室効果ガスを2030年度までに13年度比で46%削減するという新たな目標を立て、従来の26%削減から大幅に数値を引き上げた。米国や欧州諸国などでもCOP26に向け、相次いで同様の動きがあった。

 UNEPが今回公表したのは「ギャップリポート」。9月末までに各国が更新した削減目標をもとに、パリ協定の目標達成のための削減量と、現在の目標を達成できた場合のギャップ(差)を調べた。更新された削減目標でも、世界の排出量は2030年に従来と比べて7・5%減るだけで、「2度未満」のためには30%、「1・5度」のためには55%の削減が必要だとした。

 日本を含む49カ国と欧州連合(EU)は、将来的に温室効果ガスを実質ゼロにする目標を掲げているが、達成できた場合はさらに今世紀末にさらに0・5度下がって、気温上昇は2・2度になる可能性があるという。ただ、目標は漠然としているとし、アンダーセン事務局長は「各国は実質ゼロに向けた誓約をもっと具体的にして、削減目標に盛り込み、行動を前に進める必要がある」と指摘した。(ワシントン=合田禄)

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