新型コロナウイルスの流行が風疹対策にも影を落としている。厚生労働省は今年度末までの3年間で、定期接種の対象外だった42~59歳の男性を検査し、抗体が少なければワクチンを打ってもらう計画だが、達成率は4割に満たない。もともとの周知不足に加え、新型コロナの感染拡大による受診控えなどが追い打ちをかけている。

 風疹は、急性の発疹性感染症。患者1人から5~7人にうつす強い感染力があり、妊婦が感染すると赤ちゃんに障害が出る先天性風疹症候群となる可能性がある。成人で発症すると、高熱や発疹、関節痛などの症状が表れるが、無症状から重篤な合併症まで幅広い。このため、感染の自覚がないまま近くに居合わせた妊婦に感染させてしまう可能性がある。1万4千人以上が感染した2013年の流行では、患者の約8割が男性で、20~40代が多くを占めた。赤ちゃんの先天性風疹症候群も32人報告された。18年、19年にも2千人を超える流行があった。コロナのために感染対策が徹底されている昨年は100人、今年は7人(7月末現在)にとどまっている。

 ワクチンで予防できるが、定期接種が始まったのは1977年。将来妊娠する可能性がある女子中学生から始め、95年からは男女の幼児も対象とし、時限措置として男子中学生も加えた。そのため、62年4月2日~79年4月1日生まれの男性約1500万人は対象外だった。62年以前に生まれた人は男女とも接種していないが、感染して免疫を獲得している人が多いとみられている。

 そこで政府は2019~21年…

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