衆院選の在外投票、一部間に合わない恐れ 「戦後最短」の日程も影

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翁長忠雄 北沢拓也 ニューヨーク=中井大助

 衆院選で、海外に住む有権者が投票する「在外投票」で混乱が起きている。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、政府は「郵便投票」を呼びかけるが、自治体による投票用紙の発送が遅れるなど、投票の一部が間に合わない恐れがある。岸田文雄首相が解散から投開票日まで17日間という「戦後最短」の日程を決めたことも影を落としているようだ。

郵便投票、手続きに難 発送遅れる自治体も

 在ラオス日本大使館は19日、ラオスに住む邦人に、今回の衆院選で大使館での在外投票を行わないというメールを送った。新型コロナの影響で、ラオスから日本へ向かう航空機の定期便は止まり、臨時便の運航も設定できないためだ。国際宅配便も通常より配送に日数がかかっており、投票用紙が投票日の31日までに投票者が登録した各市区町村選管に届くかどうかも保証されていない。

 NGO活動などのためにラオスの首都ビエンチャンで20年余り暮らす男性(59)は「IT化が進んでいるのだから、立会人のもとで記載済み投票用紙をスキャンしてメールで送信するなど、方法はいろいろあるのではないか」と話した。

 総務省によると、在外投票には三つのやり方がある。現地の公館で投票。日本に帰国して投票。そして、郵便投票だ。

 2017年衆院選挙では在外有権者は10万90人で小選挙区投票率は21・18%だった。内訳は、公館投票がもっとも多く1万9403人、帰国しての投票が1217人、郵便投票は一番少なく578人だった。郵便投票は自宅が公館から遠かったり、帰国する余裕がなかったりする場合の唯一の投票手段となる。

 外務省によると、現地の大使館や総領事館で投票する在外公館投票について、コロナの影響や治安悪化などの理由でラオスやフィジー、サモア、アフガニスタン、シリアなど計15カ所で見送られた。

 政府は今回の衆院選では、この15カ所に限らず、在外邦人には郵便投票を呼びかけている。しかし、制度上の問題が浮かび上がっている。

 まず手続きが簡単でない。①…

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この記事を書いた人
翁長忠雄
国際報道部
専門・関心分野
東南アジア、中東、紛争、原爆、沖縄、差別