観音さま、1日で彫り上げた 京都の寺で「一日造立仏」を確認

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小松万希子

 京都府長岡京市の乙訓寺(おとくにでら)の「十一面観音立像」を解体修理したところ、仏像内部から大量の紙片が見つかった。紙片には、鎌倉時代に民衆が願をかけ、仏師が1日で彫った経緯が記されていた。調査した府文化財保護課は14日、史料で裏付けられた国内3例目の「一日造立仏(ぞうりゅうぶつ)」にあたると発表した。

 一日造立仏は、雨乞いや疫病退散を願い、仏師が1日で彫り上げる仏像。香をたき、僧侶が真言(仏の言葉)を唱えるなかでつくられ、通常の仏像にくらべて造形や表面の仕上げが簡素なことなどが特徴だ。

 同課によると、興福寺(奈良市)を中心に13世紀後半から14世紀初めにかけて作られた記録がある。これまでに、奈良県宇陀市の西方寺所蔵「薬師如来立像」(国重要文化財)と、京都府木津川市の燈明(とうみょう)寺に伝わり、今は川合京都仏教美術財団所蔵の「不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)立像」(京都府指定文化財)の計2例が確認されている。

 今回の仏像は木造で高さ約1…

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