SOMPO、介護職約1千人の年収50万円引き上げへ 看護師並みに
SOMPOホールディングスは、傘下の介護事業大手「SOMPOケア」の介護職員約1千人の給与を来年4月に引き上げる方針を固めた。対象の正社員の年収水準を50万円ほど引き上げ、介護施設で働く看護師の平均的な水準並みの450万円程度にする。介護人材の確保や定着に欠かせない処遇改善を急ぐ必要があると判断した。
介護業界は、担い手不足が深刻なのに給与水準の低さが問題視されており、岸田文雄首相も改善に取り組む意欲をみせている。SOMPOケアの判断は、政権の目標を先取りする動きとして注目を浴びそうだ。
SOMPOケアは正社員約1万人のうち、約7千人が介護職。今回給与引き上げの対象になるのはこのうち、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、在宅サービスなどの介護現場で「ケアコンダクター」と呼ばれるリーダー級の職員約1千人で、職務手当を増額する。会社側が9月に労働組合に具体案を示して交渉中で、10月中の合意をめざしている。2022年度の処遇改善に必要な原資は約24億円。
SOMPOケアは19年10月にも約10億円を投じて介護職のリーダーらの給与を上げた経緯があり、今回が第2弾になる。第1弾では、競合社に比べて処遇が見劣りし、人材確保が難しかった地域などでは最大で年80万円上げ、対象者の年収が300万円台から約400万円にアップした。
厚生労働省は、全国の65歳以上の高齢者数がほぼピークを迎える40年度に必要な介護職員約280万人に対し、約65万人が不足するとの推計を7月に公表した。
国は、介護報酬の特定処遇改善加算の仕組みなどを通じて担い手の待遇改善に取り組んでいる。だが保険財政の制約もあり、介護職員の平均給与は全産業平均(役職者を除く)の年440万円を下回ったままだ。
特定処遇改善加算は、リーダ…