失礼を承知で、私は同学年の彼を「日本一あきらめの悪いボクサー」だと思っている。
野中悠樹、43歳。11月でプロボクサーとなって丸22年が経つ。12月にはまた一つ、年をとる。
なぜ現役を続けるのか。
スポーツPlus
スポーツPlusはオリジナル記事を有料会員の方にメールで先行配信するニュースレターです。今回は10月12日配信分をWEB版でお届けします。
「どうしても世界タイトルマッチをやりたいから、ですね。何とか、そこまでは」
世界戦が実現しかけたことがある。今もあと少しの位置にいる。だから、やめられない。
薄いグローブで殴り合うプロボクシングは続けるほどダメージがたまる。日本ボクシングコミッション(JBC)は、ランキング外の選手に37歳定年制を設けている。
「年齢がいけばいくほど、こうしてとり上げてもらえるし、逆に値打ちも上がるやんって。年齢をネタにはしてますけどね。まったく後ろ向きには考えてないですね」
兵庫県尼崎市出身の野中は生粋の関西人。そう言って、くしゃっと笑った。
2年前、アジア地域のミドル級(約72・5キロ以下)王者になった。JBC公認タイトルで、41歳2カ月での王座獲得は国内の男子選手として史上最年長記録になった。
今年7月には2度目の防衛を果たし、約3年ぶりとなる世界ランキング入りを果たした。WBO(世界ボクシング機構)の15位。世界戦は絵空事ではない。
中学までサッカーを続け、高校時代は帰宅部。フリーターだった19歳の時、バイクで単独事故を起こして大けがをした。
自宅で療養中にふとボクシン…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
- 【視点】
43歳でなおリングに立ち続けるプロボクサーの物語です。同学年の筆者はプロテストに挑戦したこともある、元ボクサーです。 日本ボクシングコミッション(JBC)はランキング外の選手に37歳定年制を設けています。そんな世界で離婚、退職などをへ
…続きを読む