「青天を衝け」共感生む青春群像劇 龍馬不在の幕末、役割担ったのは

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聞き手・田島知樹
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 テレビドラマに詳しいコラムニストのペリー荻野さんは、大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合、日曜夜8時)を青春群像劇として見ている。時代劇らしくないところもあるが、だからこそ広く共感される作品だという。どういうことだろうか。

 ――「青天を衝け」をどう見ていますか。

 タイトルにある青天という言葉の通り、幕末の歴史物語としての面白さは残しつつ、青春群像劇という要素が前面に出ています。若い人も含め多くの人から共感が得られるドラマだと思います。

 閉塞(へいそく)感が漂う今の社会の空気に求められている作品だと感じます。渋沢は、正解が全く分からない時代に、必死に時代と向き合って、もがいていく。失敗しながらも突き抜けて、ダイナミックに成長する。そして「自分の道はこれだ!」と見つける。まさに青春。こちらも「良かった!」と応援したくなります。

 主人公に商売感覚があるというのも現代的で、共感できるところです。侍が剣の道で生きていくのとは違う。まだまだこれから伸びていくだろう若木のような吉沢亮さんを主役にし、渋沢の若い時期を長く描いたのもいい。時代劇っぽくなく大河の主役のイメージを変えました。

 ――視聴者は大河に何を求めているのでしょうか。

 大河といえば、庶民の憧れのスターが歴史上の有名人を演じるというのが定番でした。「赤穂浪士」(1964年)には、映画歌舞伎など各界の大物スターが出演しました。テレビの黎明(れいめい)期だったこともありますが、53%という歴代最高視聴率を記録しました。

 その後も重量感のある役者で固めるキャスティングが多かった。だんだんと「あの大河で、あの役者陣が、あの歴史物語をやるのか!」と期待する人が増えたのではないでしょうか。

 私はもっとリラックスして大河を見たいなと思います。その点、歴史は周りで動いていて、人間渋沢がその中でもがくという「青天を衝け」は、大きく構えずに見られるんです。渋沢(尾高)平九郎役の岡田健史さんや尾高長七郎役の満島真之介さんたちも良かった。青春群像劇の味わいが増しました。

 ――幕末の大河ドラマはなかなかヒットしないという評価があります。

 分かりにくいんでしょうね…

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