河野氏「核燃料サイクル」見直し発言 自民に警戒感、総裁選の争点に

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長崎潤一郎 新田哲史
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 自民党総裁選に立候補する河野太郎行政改革相の原発政策に、党内の原発推進派が警戒感を強めている。「脱原発派」で知られる河野氏は再稼働は容認したが、使用済み核燃料再利用する「核燃料サイクル政策」は見直すと明言しているためだ。使用済み燃料が行き場を失えば、原発が動かせなくなる可能性もあるだけに、総裁選の大きな争点になりそうだ。

 核燃サイクルは、原発の使用済み燃料からプルトニウムなどを取り出して再び発電に使う仕組み。その中核となる日本原燃再処理工場青森県六ケ所村)は2022年度上期の完成を予定している。

 河野氏は立候補にあたり「現実的なエネルギー政策」を掲げ、既存の原発の再稼働は当面容認するとした。原発推進派にも配慮し、党内の支持拡大を狙ったとみられるが、核燃サイクルは「なるべく早く手じまいすべきだ」と明言。もう一つの中核となるはずだった高速増殖原型炉「もんじゅ」福井県)がトラブル続きで廃炉となり、政策は事実上破綻(はたん)したと主張する。使用済み燃料の再処理にかかる総事業費は約14・4兆円に膨らむ見通しで、コスト面も問題視する。「この政策にこれまで協力をしてくれた自治体に迷惑をかけることなく、きちんとした将来展望を描けるように国は責任を持たなければならない」とも述べ、青森県六ケ所村など立地自治体に対する新たな振興策の必要性にも言及している。

 これに対し、原発のリプレース(建て替え)を推進する自民党の議員連盟は猛反発。15日に急きょ会合を開き、核燃サイクルの堅持を含む原子力政策についての提言をまとめ、総裁選の各候補者の見解を確認することを決めた。議連メンバーは約60人。議員票が欲しい各候補に「踏み絵」を迫る形で、原発推進を実現しようという狙いだ。10月の閣議決定が予定されるエネルギー基本計画の改定案をいったん撤回し、リプレースの明記など原発を最大限活用する内容に修正することも求める。会長の稲田朋美防衛相は「河野氏は現実路線に転換したと言われるが、将来的には原発をゼロにする考えを示し、核燃サイクルも否定している」と批判。再処理をしなければ、各地の原発が貯蔵能力を超える使用済み燃料であふれ、原発を止めざるを得なくなると訴えた。

 河野氏以外の立候補予定者で…

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