変わる高速道路の将来、近づく変動料金制 永久有料化も「検討課題」

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友田雄大
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 高速道路のあり方が変わろうとしている。混雑時に料金を上げる変動料金制が導入される見通しだ。2065年としていた無料開放の期限も延長が議論されている。具体的なやり方は国土交通省が検討中だが、利用者に影響する問題だけに丁寧な説明が求められる。

 東京五輪パラリンピックが終わった。期間中に実施されたある政策が注目されている。首都高速道路の渋滞緩和策としての「ロードプライシング」だ。

 マイカーなどの日中(午前6時から午後10時)の通行料金を1千円値上げし、深夜(午前0~4時)は半額にした。警視庁によると、入り口の閉鎖なども実施したことで、五輪期間中(7月23日~8月8日)に首都高の渋滞が2年前と比べ68~96%減少したという。通常料金の倍ほどの上乗せ額に、ドライバーからは不満も漏れたが効果はあったとされる。

 ホテルや航空機のチケットなどでは、混雑に応じて料金が変わるのが一般的だ。高速道路にも変動料金を取り入れることで、効率的な運用が期待される。

 昨秋から高速道路について議論してきた国交省の有識者会議は、8月にロードプライシングの導入を提言した。国交省は首都高の渋滞緩和効果を検証し、制度を固める。本格導入は22年度以降になりそうだ。

無料化は2065年からさらに延期

 リアルタイムで通行車両をとらえ料金を柔軟に変動させるには、その都度料金をどうやって利用者に伝えるかなど、技術的な課題も残る。定期的に利用せざるを得ない通勤利用者らの反発も予想される。国交省は中央自動車道の小仏トンネル付近や東京湾アクアラインなど混雑がめだつところで、試験をするとみられる。

 有識者会議では、高速道路の将来についても議論された。高速道は一般道と同じく、建前としては基本的には無料となっている。いま有料なのは料金を建設費の返済にまわしているためだ。道路網が整い借金がなくなれば、無料開放されることが法律で決まっている。維持費には税金が投入され、いつかは無料で乗り放題になるはずだった。

 だが、無料化の時期は後ずれを繰り返してきた。現在の65年も国が14年に50年から延期したものだ。日本道路公団が05年に民営化した時点では、無料化の時期は50年までとされていた。笹子トンネル山梨県)の崩落事故をきっかけに、老朽化対策に巨額の費用がかかることがわかり、無料化の実現は遠のいたという。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの遠香(おか)尚史(たかし)主任研究員は「高度経済成長期と状況が違う。少子高齢化などで国の予算も限られるなか、現実的には無料化は難しい」と話す。

 有識者会議は、メンテナンスや更新に費用がかかるとして、無料化の時期を65年からさらに延期すべきだとした。今回の延期のやり方はこれまでと異なり、借金を返済し終えて無料にする時期は明記しない方針だ。一定期間ごとに必要額を織り込み、そのつど無料化の時期を見直す法改正を検討している。道路整備特別措置法の改正案が国会に提出されるのは、23年度以降になる見込みだ。

永久有料化も検討課題に

 今回初めて議題とした永久有…

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