現状は半分人災、ロックダウンを 岩田健太郎医師の警鐘

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大牟田透
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 国内の新型コロナウイルス感染症は現在、「感染爆発」「医療崩壊」と専門家たちが警告してきたような状況が広がっています。なぜこんな事態になり、今から何ができるのか――。昨年2月、集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗り込んで、対策の不備を指摘した感染症内科医の岩田健太郎・神戸大学教授に聞きました。

自宅療養は「必要悪」

 ――後に一部修正しましたが、政府は8月初め、重症者以外は「自宅療養」を原則とする方針を打ち出し、現在も重症化リスクの高い患者に入院を重点化しています。現在の感染状況と合わせ、どのようにみていますか。

 「『自宅療養』は、そうしたくてするわけではなく、やむを得ず行う『必要悪』です。災害医療では対応能力を超える数の被災者が出た場合、少しでも多くの命を救うために、優先順位を付けて治療します。人間が勝手に地震や洪水と区別しているだけで、新型コロナで起きている現象は災害そのものです」

 ――第5波などと表現しますが、病床が埋まっても患者が次々に出る様子は通常の波ではなく、水位が上がり続ける津波を思い起こさせます。

 「私もよく水にたとえます。1滴、2滴の水が顔にかかってもどうということはありません。これが大雨になれば外に出ない方がいいし、台風や津波になれば多くの犠牲者が出てしまうことがある。『コロナはただの風邪だ』という人がいますが、患者さんが少ないうちは確かに『ほとんど、ただの風邪』です。しかし、1千人、1万人と患者が増えるにつれて、被害が大きくなり収拾がつかなくなります」

 「だからコロナで一番大事なのは、感染者を増やさないことなのです。今の東京のように増えてしまうと、何をやってもなかなか通用しなくなってしまいます」

 「幸い、感染症は津波と違って、人間の手である程度広がりを管理することが可能です。いくつかの国は実際にやっていますし、日本もそうすべきだったのですが、残念ながら五輪なんかにうつつを抜かしているうちにチャンスを逃し、東京や沖縄で感染爆発を起こしてしまいました」

「思考停止」の政府

 ――東京では検査の陽性率が20%を超えています。これは検査が間に合っていなくて数字以上に市中感染が広がっているということでしょうか。

国民の危機感を高めずに、五輪へ突っ走った政府。岩田さんは、現在の事態は「半分は人災」と断じます。インタビューでは「もうロックダウンしかない」という真意、日本の感染症医療の問題点についても語り、警鐘を鳴らします。

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 「よく、そういう言い方をさ…

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