首相「開幕前と比べて増えてない」五輪中の人出、実際は

小宮山亮磨
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 大会期間中に新型コロナウイルスの感染者が急増するなど、異例ずくめの東京オリンピックが閉幕した。菅義偉首相は6日の記者会見で、「東京の繁華街の人流は開幕前と比べて増えていない」などと述べ、感染者の急増と五輪との関連性を否定したが、五輪期間中の人の流れは実際、どうだったのか。

 携帯電話の位置情報から推計したデータを元に検証すると、東京の主な繁華街7カ所を合計した午後3時台の人出は、大会期間中の7月23日~8月8日の17日間、開催前の17日間(7月6~22日)と比べると9・3%減っていた。

 だが、開幕後の人出の減少は、五輪だけが理由とは限らない。都内の繁華街の人出は、昨年も7月から8月にかけて減っている。夏休みやお盆の帰省シーズンで、例年この時期は都心の人口が減る傾向があるためだ。

 今回の五輪期間中の人出を昨年の同時期と比べると、7・8%増えていた。7月12日に4回目の緊急事態宣言が出た中での大会だったが、昨年のこの時期は宣言は出ていなかった。

 首都圏で減った人出の一部は、夏休みの観光や帰省などでほかの地域に流れているとみられる。五輪期間中に居住地の東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県を離れ、他の道府県に滞在していた人(午後3時台)は、五輪開催前の17日間と比べて36・7%増えていた。昨年の同期間と比べても25・9%の増加。7日間平均を見たピークの時期には、110万人を超えていた。

 調査対象にした都内の繁華街は、池袋、新宿・歌舞伎町、新宿2丁目、渋谷センター街、上野仲町通り、銀座コリドー街、六本木。都医学総合研究所の「都内主要繁華街における滞留人口モニタリング」にならった。

(ニュースデータウォッチ)

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この記事を書いた人
小宮山亮磨
デジタル企画報道部兼科学みらい部
専門・関心分野
データ、統計、自然科学、社会科学