決まらない入院先、亡くなる患者 「都内の医療は崩壊」
新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がる中で、東京五輪が閉幕した。東京都内の入院調整に関わり、オリンピックやパラリンピックでは、会場外での災害や事故に対応する「都市オペレーションセンター(COC)」の医療統括を務める山口芳裕・杏林大医学部教授(救急医学)は、「医療は完全に崩壊した」と言う。率直な思いを朝日新聞に寄せた。
東京都庁にある都市オペレーションセンター(COC)を後にした頃には、もう日が変わろうとしていた。
五輪期間を無事やり遂げたという達成感はみじんもなかった。
8階にあるCOCと、28階の新型コロナ入院調整本部を何度も往復しながら、入院調整をしていた医療機関から断りの連絡を受け取ったばかりだった。
患者は50歳代。呼吸苦を訴え、血中の酸素飽和度は90%を割り込んでいた。
119番通報で駆け付けた救急車は、搬送先の医療機関を探せないまま、すでに現場に6時間以上の滞在を余儀なくされていた。
この救急隊だけではない。こ…