NHK記者はなぜ過労死した 100人以上の証言で問う

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野城千穂
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 8年前に過労死したNHK記者の佐戸未和さん(当時31)の遺族や元同僚らに取材したドキュメンタリー「未和 NHK記者の死が問いかけるもの」が動画配信されている。制作したフリーの映像制作者、尾崎孝史さん(55)は100人以上への取材から、佐戸さんが亡くなる直前まで重圧やストレスの中で仕事に追われていた姿を浮かび上がらせた。

100人以上、計120時間の取材

 佐戸さんは2013年7月24日、うっ血性心不全で亡くなった。取材していた都議選、それに続く参院選の投開票の3日後だった。

 NHKが佐戸さんの過労死を公表したのは、労働基準監督署の認定から3年以上たった17年10月だった。翌朝の新聞で両親が「このままでは未和の死が風化し、葬り去られる」と語っていたのを読んだのがきっかけで、尾崎さんは取材を始めた。

 代理人の弁護士を通じて両親に手紙を出すと、10日ほど後に母の恵美子さん(71)から着信があった。

 1回、2回と両親に取材を重ね、3回目からカメラを回し始めた。小さい頃から弟や妹をよく気にかけていたこと。一橋大在学中に民放ラジオ局の番組に携わり、メディアに関心を持ったこと……。

 佐戸さんの初任地の鹿児島にも足を運び、東京での同僚や上司らにも取材を試みた。約3年半にわたって100人以上に取材し、カメラを回した時間は計約120時間に。真摯(しんし)に取材相手と向き合い、正義感をもって仕事に明け暮れていた佐戸さんの人柄が浮かんできた。

重圧のかかる選挙取材

 最後に佐戸さんが担当してい…

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