「電力まで五島産」広がる再エネ ふるさと納税でも復活

有料記事経済インサイド

北川慧一
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 再生可能エネルギーの「産地」を売りにする動きが広がっている。地域の太陽光や風力などでつくった電気をブランド化して地域振興につなげる狙いだ。ふるさと納税の返礼品としてPRする自治体もある。

 「電力まで五島産」

 レシピカードには、こんな言葉が記されていた。

 東京や大阪の百貨店で開かれた物産展で、長崎県五島市の水産加工会社「しまおう」が魚のすり身に昨年から添えた工夫だ。

原料の安全・安心は当たり前

 しまおうは地元でとれるアジやアゴ(トビウオ)ですり身やかまぼこを作る。昨春、地元の新電力会社と契約し、工場の電気はすべて地元の再エネでまかなっている。カードには「島の風と太陽から生まれた電気で製造しています」と記し、風車のイラストも描いた。山本善英社長(51)は「原料の安全や安心は当たり前。地元の電気が注目されるようになれば」と話す。

 五島市では太陽光や風力発電など再エネの普及が進み、使う電気の約半分は市内でつくっている計算だ。沖合に巨大な風車を新たに8基浮かべて発電する計画も進んでおり、2023年ごろには8割まで上げる予定だ。電気は、大手電力会社には売らず、できるだけ「地産地消」に生かす。今夏には、使う電気をすべて地元の再エネでまかなう企業を独自に認定する「五島版RE(アールイー)100」という取り組みを始める。五島と政府の景気刺激策をもじった「GOTO RE100」というロゴマークも作り、認定された企業はロゴを使って取り組みをアピールできる。

 地元の福江商工会議所の清瀧誠司会頭(81)は「人口減少の著しい離島は、他ではできないことをしなければ生き残れない。島の電気を活用して生産段階から差別化を進め、地元企業の価値を高めたい」と話す。

■スタバも関心「お店で知って…

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    田幸香純
    (朝日新聞記者=働き方、企業、消費)
    2021年8月11日23時59分 投稿
    【視点】

    新型コロナ禍で急拡大したというネット通販。いろいろなサイトを眺めて気づいたのは、商品やサービスそのものをPRするだけでなく、それが生まれた背景、作り上げるまでの過程といったストーリーを描くケースが増えたということです。そのストーリーへの共感

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