70年語られなかった移民事件 名簿から理由に迫る映画

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サンパウロ=岡田玄
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 第2次世界大戦中、南米ブラジルの港町サントスで日系移民の585世帯がスパイの疑いをかけられ、強制退去させられた事件があった。その歴史を掘り起こしたドキュメンタリー映画「オキナワ サントス」が7日から、全国で公開される。松林要樹監督(42)は「過去のブラジルの出来事ではなく、現代の日本にも通じる問題を感じてほしい」と話す。

 第2次大戦中、連合国側のブラジルは、日本など枢軸国出身の移民をスパイと敵視した。1943年7月8日、サントスで暮らす日系とドイツ系の移民に24時間以内の退去命令が下された。着の身着のままで家を追われ、移民収容所を経て家族や知人を頼りに内陸部に散った日系移民の6割が沖縄出身者だった。

 移民史上、類のない事件だが、ブラジルの移民社会でも70年以上、語られてこなかった。なぜなのか。映画は、サントスの日本人会館を訪ねた際に強制退去させられた人々の名簿を見つけた松林さんが、事件の実相を掘り起こし、人々が口を閉ざした理由に迫っていく過程を描いた作品だ。

 松林さんは「制作を通じて意…

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