オンキヨー上場廃止、債務超過で 再建への道は険しく

森田岳穂
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 経営再建中のオンキヨーホームエンターテイメント(大阪府東大阪市)が1日、ジャスダック市場を上場廃止になった。2021年3月期まで2期連続の債務超過となり、廃止基準に抵触したためだ。今後は、祖業の家庭向けAV事業を売却して得る資金で債務超過を解消し、事業の立て直しを目指す。

 オンキヨーは音楽配信の普及に伴い、高価格のコンポなどが売れなくなって経営不振に陥った。海外ファンドに新株を買ってもらうなどして資本増強を図ったがうまくいかず、21年3月期は23億円の債務超過となっていた。

 上場廃止になると、株主にとっては議決権などの権利は残るが、市場での株の自由な売買ができなくなる。オンキヨーにとっては新株発行による資金調達がしづらくなり、社会的な信用度にも影響する。

 同社の広報担当者は「今後は再上場を含め、株式の流動性を高める方策を検討していく」としている。再上場するには、一定の利益を出すなどの基準を満たす必要がある。

 再建に向けては、5月末にシャープと米音響機器大手ヴォックス・インターナショナルの子会社に対し、売上高の4割を占める家庭向けAV事業を33億円で売却することで合意した。両社は「ONKYO」ブランドのコンポなどの生産・販売を引き継ぐ方向だ。

 ただ、オンキヨーは売却資金によって債務超過は解消できる見込みだが、厳しい資金繰りは続く。

 また、主力事業を売却したあとに残るのは、イヤホンや補聴器、他社の自動車やテレビに組み込むスピーカーといった事業だ。同社は「残存する事業でも協業先やスポンサーを探すとともに、構造改革やコスト削減を実現し、小規模でも確実に収入を確保できる体制を整えていく」としているが、実現に向けては険しい道のりが続きそうだ。

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