反対だったのにいま熱中する理由 コロナ療養者の五輪

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堀之内健史 矢島大輔
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 新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、東京五輪が続く。「隔離されているという現実を考えないように」。各地の療養ホテルでは、コロナ患者たちが不安と寂しさを抱えながら、個室でひとり、テレビが映し出すアスリートの躍動を見つめている。

 広島県内の駅近くにあるホテルの7階の一室。女性(19)は25日夜、テレビ画面を見つめて涙を流した。

 柔道の阿部一二三(ひふみ)、詩(うた)の兄妹が金メダルを掲げていた。「涙もろくないはずなんだけど、自分にも弟がいるし、精神的に弱っていたのかも。自分も頑張ろうと力をもらえた」

 女性はコロナに感染し、23日からホテルで療養中だ。回復できるのか。後遺症が残らないか。熱は39度あり、ぜんそく持ちで隔離生活に不安が大きかった。

 部屋から出られるのは1日3回、同じ階の10メートルほど離れた部屋に弁当を取りに行く時だけ。やることといえば、1日に2回、体温と酸素飽和度を測って数値を報告する程度だ。感染を知られたくないので友だちに電話もできない。

 6畳ほどの部屋にベッドと椅子、机がある。スマホを長時間眺めると目が痛くなる。窓から見えるコンビニに出入りする人たちを観察し、退屈をしのいだ。

 ホテル療養を始めた時はテレビを見る気になれなかった。だが、テレビをつけずに静かな状態だと考え込んでしまう。昼間だけでなく、寝る時も五輪中継をつけっぱなしにするようになった。

 五輪の開催には元々は反対だった。通う学校のサークルには入れず、体育祭も文化祭も中止に。「なんで五輪だけ」と思っていた。

五輪に反対だった女性がテレビに釘付けになった理由は何でしょうか。記事の後半では、外出は禁止で、3食とも弁当という療養ホテルの姿を描きます。

 スポーツ観戦はほとんどした…

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