「私たちは二つの『占領』に苦しんでいる」。パレスチナのヨルダン川西岸地区で、そんな言葉を聞いた。イスラエルの占領政策と、パレスチナ自治政府の腐敗や言論弾圧を指すという。イスラエルとの大規模な軍事衝突を主導したイスラム組織ハマスの人気とは対照的だ。停戦を迎えた今、パレスチナで何が起きているのか。現場を歩いた。(ラマラ=清宮涼)
「アッバス(議長)は退任を」「我々はもううんざりだ」
7月3日、パレスチナ自治政府があるヨルダン川西岸地区の中心都市ラマラで、数百人が自治政府に抗議の声を上げた。
参加した弁護士の男性(29)は1週間前も同様のデモに参加し、自治政府に一晩、拘束されたという。「人々は自治政府の腐敗に反発の声を上げ始めた。だが、ここでは言論の自由が全くない。イスラエル以上に自治政府が恐ろしい」と話した。
抗議デモが始まったきっかけ…