代表選手の亡命、海外では過去に例も 東京五輪では…
サッカーのミャンマー代表として来日した選手が6月、クーデターを起こした国軍が支配する自国に帰るのは危険だと判断し、日本で難民認定を求めた。日本国内では異例の出来事として注目を集めたが、国際大会を舞台にアスリートらが保護を求めるケースはこれまでにも各国であった。
難民申請をしているのはミャンマーのピエリアンアウンさん(27)。ワールドカップ予選のため日本に滞在し、5月末に千葉市であった対日本戦でミャンマー国軍への抵抗を表す「3本指」を掲げた。6月16日夜、帰国便に乗る直前に保護を求め、後日、難民認定を申請した。
出入国在留管理庁は5月末からミャンマー人を対象とした緊急避難措置を始めており、ピエリアンアウンさんも6カ月の在留と就労の資格を得た。難民申請の結果はまだ出ていない。
全国難民弁護団連絡会議代表の渡辺彰悟弁護士は「入管が保護のために積極的に行動をとったことは評価できるが、そもそも日本は難民条約の加盟国。当たり前の対応がとられたともいえる」と語る。
入管庁によると、国際大会のために来日した選手が日本で難民申請したような過去の事例は統計がなく、把握していないという。東京五輪・パラリンピック大会組織委は、大会に関連する同様の事案について「発生した場合の対応も想定はしているが、詳細は公表していない」とした。
日本で暮らす難民の支援に取り組むNPO法人難民支援協会は、東京五輪・パラリンピックの開催に伴って相談者が増えることを想定し、スペースや人員の確保を進めている。
以前、日本で国際会議が開かれた直後に、普段は1日あたり15人ほどの相談者が、約30人に増えたことがあったという。「会議の直接の関係者というよりは、会議に伴って来日者が増えた影響だったとみている」と広報担当者は話す。「コロナ禍で来日者数は当初の予定より大幅に減っているものの、十分に相談に応じられるよう、準備している」
過去には、日本を訪れた選手が帰国に際して身の危険を感じ、行動を起こした事例もあった。
記事後半では、長年ミャンマー難民を支援してきた渡辺彰悟弁護士へのインタビューを掲載しています。ミャンマーをめぐる入管の対応への評価や課題、今回のクーデターで明らかになった日本の「難民像」のおかしさなどについて、聞きました。
2019年8月、東京で行わ…
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