株主総会で圧倒的な支持を受けて続投しようとしていた代表取締役会長が、数時間後にはタダの取締役に降格――。そんな想定外の「解任劇」が、地方銀行の山口フィナンシャルグループ(FG)で6月に起きた。異例の事態を取材すると、強引とも映る前会長の手法に社外取締役が「NO」を突きつけた構図が浮かぶ。

拡大する写真・図版会長を解任された吉村猛氏(左)。椋梨敬介社長(右)がCEO職を引き継いだ=2020年11月、山口県下関市、田幸香純撮影

 会長兼CEO(最高経営責任者)を解かれた吉村猛氏は、金融界で改革派の地銀トップとして知られた。事業承継支援のファンドや地域商社の設立など、低金利下でも稼ぐ「脱地銀」の取り組みで注目されていた。

 吉村氏は6月25日午前の株主総会で取締役として再任されたが、山口FGは同日午後6時15分、吉村氏をヒラ取締役にする「代表取締役の異動」を公表した。

山口フィナンシャルグループ(FG)
山口銀行(山口県下関市)と、もみじ銀行の持ち株会社もみじホールディングス(広島市)が経営統合し、2006年に設立した。11年には北九州銀行(北九州市)を新設した。3月末時点の総資産は11・9兆円、従業員は4400人で、上位地銀グループ。

 わずか半日で何が起きたのか。関係者によると、吉村氏は同日、山口FG本社(山口県下関市)で臨時取締役会に出席。議長役として自らのCEO続投の人事案を切り出し、「賛成の方は挙手を」と呼びかけた。

 しかし、取締役10人のなかで…

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