奥羽・羽越新幹線 単線なら実現?山形県などの調査

上月英興
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 山形県などが整備を求めているフル規格の奥羽・羽越新幹線について、沿線6県でつくるプロジェクトチーム(PT)が、単線などの効率的な整備手法を選べば、乗客らの便益が費用を上回るとする調査結果をまとめた。県は整備は妥当だとして、今後、国への要望につなげていく考えだ。

 国が1973年に決定した基本計画によると、奥羽新幹線は福島市から山形市付近を経て秋田市に、羽越新幹線は富山市から新潟、秋田の両市付近を経て青森市に着く。費用対効果の調査は2014年以降、同じく基本計画路線の四国、山陰、東九州の各新幹線でも実施されたという。

 今回の調査は、単線か複線か、盛り土をコンクリートで補強する土構造か高架かなどの条件で費用を、人口推計や経済成長、運行速度などを基に利用者や事業者らの貨幣換算した便益(効果)を算出。一日の運行本数は片道32本、供用開始は45年などと仮定した。

 その結果、奥羽、羽越新幹線とも、単線で土構造などの整備手法を選べば、費用よりも得られる便益の方が上回ったという。

 県総合交通政策課の遠藤和之・鉄道機能強化主幹は、交通網が途絶する大規模災害時の代替(リダンダンシー)機能など、貨幣換算できなかった効果もあると説明。「整備の妥当性を示せた。整備の足がかりとなる福島―米沢間のトンネルの早期事業化や、コロナ禍で落ち込んだ山形新幹線の利用回復、需要創出が目下の課題なので、一生懸命取り組みたい」と話した。

 PTは、観光や産業、防災などの観点から両新幹線の活用による地域ビジョンも策定。調査結果と合わせて、県のホームページで公開している。(上月英興)

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