保険の有無、業界が一括で調査 認知症などに備え新窓口

津阪直樹
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 亡くなったり、認知機能が落ちたりした親がどの会社の生命保険に加入していたかわからない。そんな悩みを解決する業界統一の問い合わせ制度が1日始まる。認知症の人の増加などに伴い、高齢者の金融資産を巡る課題も増えている。生命保険協会が窓口となり、認知症の人の家族らの請求手続きを便利にする。

 家族の契約の有無がわからない際、これまでは保険各社へ個別に問い合わせる必要があった。新制度を使えば、生保協会が加盟全42社に一括して契約を確認する。本人死亡時の問い合わせの場合、契約があれば保険金を請求可能かどうかも確かめられる。実際に請求する際などは利用者が保険会社に直接手続きする。

 利用できるのは、契約者本人の死亡時は相続人と、弁護士ら代理人などで、判断能力低下時は3親等内の親族や代理人など。費用は照会1回につき3千円。協会のホームページで手続き後、ネットか郵送で申請する。契約者本人との関係の証明書を提出し、認知能力低下時は医師の診断書を求められることもある。

 高齢化に伴い、認知症の人の金融資産の管理が大きな課題となっている。第一生命経済研究所の試算によると、その規模は2030年度に215兆円と、全体の約10%を占める見通し。金融庁は20年、金融機関に対して「認知判断能力の低下した高齢顧客への対応の強化・改善」を求めている。

 生保協会は11年の東日本大震災時、災害時に限った制度として保険契約の有無を問い合わせられる制度を設けた。被災者の死亡や行方不明で保険証券などを確認できない場合、家族が調べられる。こうした災害時の対応も続け、その利用では無料となる。協会はHP(https://www.seiho.or.jp/別ウインドウで開きます)で使い方を案内している。(津阪直樹)

 ◆高齢者のお金を巡る困りごとや勧誘被害、資産形成について知りたいことを、〒104・8011(住所不要)朝日新聞東京本社経済部「シニアマネー取材班」(メールはkeizai@asahi.comメールする)にお寄せ下さい。

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