サイバー重大犯罪、変わる捜査 警察庁直轄隊の権限は

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編集委員・吉田伸八
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 警察庁は24日、サイバー攻撃サイバー犯罪に対処する体制を強化するため、関係の部門を集約した「サイバー局」を新たに設ける組織改編の構想をまとめた。重大な事案で警察庁が直接捜査する「サイバー直轄隊」も設置する方針で、捜査権限は都道府県警が持つという従来の警察のあり方から踏みだすことになる。

 警察庁は来年の通常国会に警察法改正案を提出したい考えで、サイバー局などは来年4月、直轄隊は来年秋以降の発足をめざす。

 サイバー局をつくる理由として警察庁は、社会のデジタル化の進展▽国家を背景としたりマルウェア(悪意のあるプログラム)を用いたりするサイバー攻撃の脅威▽警察自身の高度な情報化の必要性――の拡大などを挙げている。

 現在は、不正送金や詐欺といった主に金銭目的のサイバー犯罪は生活安全局の情報技術犯罪対策課が、インフラ事業者や先端技術を扱う企業、行政機関を対象に情報の取得などを目的としたサイバー攻撃やサイバーテロは警備局のサイバー攻撃対策室がそれぞれ担当している。解析は主に情報通信局が担っている。

 案では、こうした部門をサイバー局(約200人規模)として統合。同時に、情報通信局を改組し、同局が所管する情報管理や通信施設の業務を長官官房に移して技術政策を統括する部門を設ける。

 サイバー直轄隊は警視正を隊長に都道府県警からの出向や技術系を含む約200人の警察官で構成する計画だ。組織上は関東管区警察局に置き、サイバー局が指揮監督する。行政機関やインフラ事業者に対するサイバー攻撃や、全国的に大きな被害が多発するサイバー犯罪といった「重大な事案」に限って担当する。

 最近の例では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが狙われた攻撃やゲーム大手カプコンに対するランサムウェア(身代金ウイルス)による攻撃、ドコモ口座などの電子決済サービスを使って預金が引き出された事件などがこれにあたるという。

 直轄隊は単独で捜査するほか…

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