犠牲者50人「なぜ救えず」 熊本豪雨、再検証求める声

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竹野内崇宏
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 昨年7月の記録的豪雨で犠牲になった人たちの調査が不十分だとして、球磨(くま)川(熊本県)周辺の住民から再検証を求める声が上がっている。流域では50人が亡くなったとみられるが、県は遺族への調査はせず、自治会長らの話をもとに十分な検証を終えたとしている。だが、疑問を抱く遺族もおり、遺族を含む延べ200人以上から聞き取って教訓を生かそうとする団体もある。

 「母と伯母がなぜ亡くなったのか、なぜ助けられなかったのかを知りたい」。熊本県球磨村の平野みきさん(50)は、そう訴える。

 母の川口豊美さん(当時73)とその姉、牛嶋満子さん(同78)は球磨川沿いでアユ釣り客らに親しまれた商店を営んでいた。

 十数キロ上流側に住む平野さんは昨年7月4日、未明から30分おきに豊美さんに電話をかけた。2人が暮らす店舗兼住宅は数年前に1・8メートルのかさ上げをした地域にある。午前7時半ごろには「2階に避難する」と聞き、安心した。

 だが午前9時前を最後に、電話はつながらなくなった。2人がいた店舗兼住宅は跡形もなく流され、遺体は八代海で見つかった。

遺族「検証できていないのでは」

 「お母さんと犬が屋根の上に乗り、屋根ごと流されているのを見た」「助けられなくてごめんね」。目撃した人たちから証言が寄せられたが、いつ、なぜ2人が流されたのか、詳しい状況は今も分からない。

 「最後まで連絡をとっていた私も、県や国から話を聞かれていない。何も検証できていないのでは」

 熊本県は昨年10月、国土交…

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