選択的夫婦別姓、今国会で結論出ない見通し 与党慎重、野党一致せず
選択的夫婦別姓の導入について、今国会では結論が出ない見通しになった。19日、日本維新の会が旧姓の通称使用を法的に位置づける法案を衆院に提出。別姓制度を認める法案を提出済みの立憲民主党と対応が割れた。自民、公明両党は与党としての結論を先送りする方針で、いずれも過半数を得られない情勢になった。
維新案は、「同一戸籍・同一氏(姓)」の原則を維持しつつ、旧姓の通称使用を届け出た場合は戸籍に記載し、法的な効力を持たせることが柱。現在は結婚後の姓と旧姓の併記を認めているパスポートやマイナンバーカードなども、旧姓のみの記載を可能にする。
一方、立憲が選択的夫婦別姓の導入法案を4月末に提出している。野党が多数を占める衆院は、野党が一致すれば可決する可能性があったが、立憲と維新が独自案を出したことで厳しい情勢になった。今国会中に両党が歩み寄る可能性は極めて低い。
慎重姿勢の自民 足並みそろえる公明
自民も独自案を出すため2月から党内議論を重ねてきたが、別姓制度の推進派と慎重派で意見の開きが大きく、案をまとめる段階に至っていない。党執行部は、参院選を控える中で独自案を固めることに消極的で、結論を先送りする考えだ。
自民の一部が立憲や維新が提出した法案に賛同すれば成立の可能性は残るが、党の分裂を招く状況は独自案を出す場合と同じであるため、執行部はこれも認めない方針だ。党内議論を継続することを総務会で確認する案も浮上している。
公明は別姓制度の導入を強く求めてきた。だが、自民の慎重姿勢に足並みをそろえつつある。
斉藤鉄夫代表は19日、「与党でまず案をまとめることが適当だ。国民の議論や理解を得て進めるべき問題で、期限を区切って議論する性格のものではない」と記者団に語り、自民との合意を重視する考えを改めて示した。参院選へ向けて、与党の結束を優先する意識が強まっている。
石破茂首相は「いつまでも結論を先延ばししていい問題だとは考えていない」と繰り返し述べてきた。だが、伝統的な家族観を重んじる慎重派の声が党内に根強くあるなか、主導して結論を出すことに後ろ向きだ。