「ワクチンは当面…」と保留した免疫学者 打った理由は
免疫に詳しい医師で大阪大招へい教授の宮坂昌之さんは昨年、「私は当面、打たない」と新型コロナウイルスワクチンの接種の判断を保留していました。でも最近、接種を受け、「心配です」と訴える人にも「受けたほうがいい」と今は勧めているそうです。その理由を聞きました。
宮坂さんは昨年末、「安全かどうかを確認するにはまだ時間がかかる」などとして接種に慎重な姿勢でした。実際、ワクチン接種後、まれに重度のアレルギーであるアナフィラキシーを起こす人がいて、英国の報告では、100万接種あたり14.5でした。
しかし宮坂さんは「アナフィラキシーが起きる割合はこれまでのワクチンよりやや高いが、医師がそばで対応すれば、ほぼ救命できます」と考えています。
宮坂さんは接種会場で問診もしており、「腕がはれたり、熱が出たりするなどの反応はあるかもしれませんが、ワクチンで得られるメリットのほうが大きいと思われます」と話しているのだそうです。
宮坂さん自身も5~6月、接種を受けました。受けたのはファイザーのmRNAワクチン。接種後、1~2日、腕が少し重いと感じる程度で、痛みはあまりなかったといいます。
わきの下をさわると、小さな豆状の「リンパ節」がはれてきたのがわかりました。「これは、まさにmRNAワクチンの特徴。素晴らしい」と思ったそうです。
mRNAワクチンは、リンパ管が集まるリンパ節に流れていきます。リンパ節は、ウイルスなどの外敵に対して免疫系が戦う時のとりでのような場所です。
ウイルス感染よりも、mRNAワクチンのほうが効率的に免疫系を働かせることが期待されており、リンパ節がはれたのは、すぐに免疫系が働き出した証拠。宮坂さんはそれを実感したのです。
この仕組みは、国内で使われている米大手製薬企業ファイザーと米バイオ企業モデルナのmRNAワクチンが臨床研究で、95%という高い有効率を示した理由の一つと考えられています。
ただ変異ウイルスも流行しています。「変異ウイルスにも効果があるの?」「ワクチンで抗体ができるというのはどういうこと?」「有効率90%はどういう意味?」「熱や痛みもあるらしいけどどれほど?」……さまざま疑問をお持ちの方も多いことでしょう。
そんな疑問に宮坂さんが答えるオンライン記者イベント「コロナのもやもや解決したい ワクチン編」を6月26日午後5時半から開催します(参加希望者多数につき、登録は締め切りました)。
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