「申し訳ない」78回で逃げた首相 官僚まで首相見習う

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南彰 江口悟
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 菅義偉首相になって初めてとなる通常国会が閉会した。新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言がつづいた今国会で浮き彫りになったのは、質問に答えようとしない首相と、都合の悪い情報を隠そうとする霞が関の姿だった。国民の代表が集まる国会を軽視する傾向が強まっている。(南彰、江口悟)

 菅首相は今国会の冒頭から謝罪を繰り返す低姿勢で臨んだ。政府が提出した63法案のうち、首相肝いりのデジタル改革関連法や改正地球温暖化対策推進法など61本が成立した。その一方で、際だったのは「国会に出ない」「説明しない」という姿だった。

 「なぜ首相が出席していないのか理解に苦しむ」

 17日の衆院議院運営委員会では野党議員から苦言が出た。政府は、東京などの緊急事態宣言を解除し、まん延防止等重点措置に移行させる方針を説明した。答弁に立ったのは、西村康稔経済再生相だった。

自民党所属の委員長が官邸に異例の注意

 コロナの感染拡大に見舞われた1月以降、緊急事態宣言や重点措置の地域指定に関する衆参議運委での国会報告は15回あった。政府のコロナ対策には国民の私権を制限する内容が含まれている。本来、私権制限の是非は国会が法律で定めるのが筋だが、その裁量を政府に委ねるにあたり、野党側はほぼ毎回、首相が出席して国会に説明するよう求めた。しかし、首相が応じたのは、わずか2回だ。

 首相は昨秋の臨時国会で、日本学術会議会員候補の任命拒否問題などで「お答えを控える」という事実上の答弁拒否を41日間で100回以上繰り返した。

 コロナ対策で後手に回り、内閣支持率が下落したなかで始まった今国会では、「申し訳ない」などと謝罪する発言が続き、150日間の会期中78回に上った。一見、低姿勢に見えるが、内実は違う。

 「あまりにも答弁が短く、中…

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