学校給食、ネット通販、苦境の県産品の需要拡大を支援

遠藤和希
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 4月上旬の夕方、JR長野駅北側にある東急百貨店地下の食品売り場。食欲をそそる香ばしいにおいが漂っていた。この日開かれた「信州フェア」で焼き鳥を売っていたのは、地鶏の生産、販売を手がける信濃農園(飯綱町倉井)の山浦忠司社長(57)。においにつられ、声をかけると「店で食べたら1串400円するけど今回は150円。もう閉じるから100円でもいいよ」。「在庫になるよりは、皆さんに食べてもらいたい」ともいう。

 コロナ禍で取引先の飲食店、ホテル、結婚式場などへの出荷が大きく減った。昨年から加工品を増やし、個人客を目当てにネットや百貨店での販売に力を入れてきた。「現実に目を向け、生き残るためには自分たちで何とかしなくては」

 県内の飲食店では客足が遠のき、業務用の県産品の需要も減少している。県は6月補正予算で、県産牛肉や信州サーモン、黄金シャモ、米、そばなど県産食材の学校給食での活用、直売所での販路拡大を進める事業に約3億円を計上。このほか、大都市圏でのイベントでの県産品PRに約3億3千万円、ECサイト(ネット通販)の発送料助成に約3億4千万円を盛り込んだ。

 黄金シャモを生産する農業組合法人「とや原ファーム」(東御市御牧原)は昨年7千羽を県内外に出荷した。だが、新たな販売先の開拓は思うようにできていないという。代表理事の柳沢祐一さん(54)は「一口食べてもらえればおいしさがわかる。みんなもがきながらやっている。県とタッグを組んで信州の地鶏のおいしさを広くPRできれば」と話す。(遠藤和希)

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